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2024.01.23

ウェルビーイングな「町づくり」のヒントが淡路島にあった!


「人生100年時代の町づくり」とはどのようなものでしょう?

私たち100年生活者研究所では、社会に還元するトライアルとして「100年生活のまちづくり」プロジェクトを立ち上げ、まちづくりに関わる企業や個人を取材し、様々な角度から100年生きたくなる社会の仕組みを創出する活動をはじめました。

その一環として今回取材したのは、総合人材サービス企業「パソナグループ」の大出執行役員。パソナは、東北・京丹後・岡山など、全国で自治体や地元企業、地域の方と連携しながら、独自の地方創生事業を展開しています。特に、淡路島との関係は深く、日本のアニメ・漫画と、淡路島の自然が融合した「ニジゲンノモリ」のプロデュース。広大な敷地で、農・食・住をテーマにした農家レストランの運営や自然と人との構成を学ぶプログラムの実施。地産地消の食材を活かしたレストラン経営。淡路島の劇場やレストランを舞台にした、音楽を通じた地方創生、など幅広い取り組みを実施しています。2020年には本社の主要機能の一部を淡路島に移転するなど、全社を挙げて「地方創生」に取り組んでいます。

ニジゲンノモリ TM & © TOHO CO., LTD.

のじまスコーラ

Well-beingな町づくりとは「人の真の幸せ」をつくること

2023年11月に、「淡路島で心・身体・社会が健康になる2週間」をテーマに「AWAJI WELL-BING WEEK」を開催しました。

パソナグループが、創業以来掲げているのが「社会の問題点を解決する」ことです。これを追求することで、人の「真の幸せ」をどのように作り上げていけるのか、これを一貫してやってきています。

多様性を促す時代において「豊かさ」というのを多面的に考えていく必要があります。社会の問題点、課題を、我々が取り上げて実感し、その上で、解決に向けて継続的に実施できるものを追求していきます。

「地の利と時の利」〜淡路島でのモデルケースづくり

Well-beingの取り組みは、2008年にスタートした淡路島での農業人材の育成がきっかけです。淡路島には「地の利」と「時の利」があります。「地の利」としては、淡路島は昔から交通の要所として四国と本州を結ぶ地でした。今は関西国際空港が対岸にありますし、神戸空港、徳島空港、それから伊丹空港と、海外との交流もできる地であると言えます。また「時の利」では、関西圏はこれから万博を迎え、みんなが何かやろうと考えているので一緒になって作り上げたいと考えています。

淡路島以外でも、全国で色々な「地方創生」を行ってきました。青森県もその一つでしたが、まず1ヶ所に集中して、社会の課題点をどう解決するかのモデルスキームをみんなで作っていき、そこから全国に広げていく、そういう形が我々の原点です。

まちづくりで大切なのは「自分で汗をかきたいと思えるか」

人が動くとそこには何らかの世界が出来上がり、理論だけではなく必ず行動が伴います。つまり、大切なことは「自分で汗をかきたいと思えるか」どうかです。汗をかくことで、その先に見える世界が違ってきます。会社としては社員一人一人をどうサスティナブルに成長させていくかを常に考えており、内定者研修もインターンシップもほぼ全て淡路島で実施します。記事で読む、映像で見る、なども大切ですが、我々はそこから一歩進んで、あなたの目で直接見たら、体験したらどう思うかを大事にしています。ただし、行動には必ず失敗もつきものですので、失敗と思わせないシステムもセットで必要だと考えています。

地域とのコミュニティづくり

「パソナが淡路島に来て良かったことはありますか?」と町の人に尋ねると、「今までより孫が帰ってくるようになった」との声を聞くことがよくあります。お孫さんが「おじいちゃん、次は何々ができるんだよね?行きたい!」と言って来てくれ、そこに連れてくとお孫さんの笑顔が見られるので、よし、もっと頑張ろうと感じるとのこと。

今回のAWAJI WELL-BING WEEKでは、誰もが参加できる「UNDOKAI WORLDCUP」を開催しました。運動会の世界大会で、町の人みんなで盛り上がるイベントです。市民の方もそうですが、多くの市や県の職員、自衛隊の方などにもご参加いただき、交流するきっかけが作れて一種の防災訓練にもなりました。また、今回は自衛隊の方が足湯用のお風呂を作ってくれまして、足湯しながらみんなで語り合えば、新しいコミュニティで意見交換ができるのでは、という発想で取り組みました。

人生100年時代の町づくりは「生きることに真摯に向き合うこと」

町づくりにおいて、交通が便利、住む家が快適、など色々な要素がありますが、最後のトリガーは、やはり人ではないかと思うのです。そして社会的な絆がそこの地にできているかどうかだと思います。

2025年に万博への出展を予定していますが、コンセプトは、「いのち、ありがとう」です。きちんと生きる、ということに真摯に向き合える場のきっかけになればと考えています。

人生100年時代に100歳まで生きたいと思えるかどうかにも通じますが、生きることに真摯に向き合えば、より長く活動したいと思えるのではないでしょうか。そもそも生命として長く生きたいという思いは根元のところにあるはずですが、現状では3割弱の人しか100歳まで生きたいと思えていない。それを阻害する要因は経済的な理由もあるかもしれませし、医学的な見地から考える必要もあります。またメンタル的なものもありますし、それを支えるための社会的受容性もあります。万博を機に共に考え、実装していく機会になればこの上なく幸いです。

町に入って、地域に根差して、そこに住む人達と一緒になって町づくりを実践する。パソナさんの取り組みは理想だけではなく常に実行が伴っていました。その結果、色々な場所で深い絆が生まれていると感じました。今回、現地視察した際にも、「町の問題点を解決する」ための工夫が、いたるところで見受けられました。是非、皆さんも、淡路島に足を運んで、自分の目で見て体感して欲しいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

プロフィール
研究員
宮本 和彦
2004年に大広入社。以来大阪一筋でしたが、2020年コロナ初期に、東京に。笑いと健康をテーマに、
100生活のヒントを探りたいです。