幸せをあなたと探す研究所。 100年生活者研究所幸せをあなたと探す研究所。 100年生活者研究所

文字サイズ
標準
メニュー
2023.06.07

人生100年、お金の使い方で幸福度も変化? 100年時代を彩る「幸循環消費」とは。

要約すると

  • 最も幸せを感じるお金の使い方は「自分自身が誰かとの今を楽しむためにお金を使うこと」。

  • 使ったお金の大小は関係なく、その先の満足感のほうが幸福感につながる。

  • 「幸循環消費」を積み重ねることが、人生100年時代を前向きに捉えるカギになる。

今月は多くの企業で夏のボーナスが支給されるかと思います。自身の頑張りに対する対価として支給されるこの夏のボーナス。ある人はコロナ禍で我慢していたことを存分に楽しみ、ある人は将来を見据えて堅実に貯蓄するなど、使い方は様々だと思います。

私が今年のボーナスを何に使おうかと考えたときに、ふと疑問に思ったことがあります。それが「人はどんなお金の使い方をしていれば、ずっと幸せでいられるのだろう…。」ということです。 今回は、「お金の使い方」と「幸せ」について考えてみます。人生100年時代を幸せに生きていくための、「お金との向き合い方」について考える一助となれば幸いです。

最も幸せを感じるお金の使い方は「誰かといる今の時間を充実させる消費」。

まず初めに幸せを感じるお金の使い方について、深堀りしていきたいと思います。実際のお金の使い道としては、貯蓄が多いと思いますが、幸福度の観点で結果を眺めるとお金との向き合い方に特徴が出てきました。 20~80代の方々に「あなたは何にお金を使うことが最も幸せだと感じますか?」という質問をしたところ、半数以上の方が「自分+他者のための消費(友人との旅行/外食/贈り物等)」と回答しました。

【幸せに感じるお金の使い道】

他にも「今を楽しむためのものと将来のためになるもの、どちらのお金の使い方が幸せと感じますか?」と聞いてみたところ、今を楽しむためにお金を使う方が幸せと感じる人は全体の46.6%と最も多い結果になりました。

【幸せに感じるお金を使うタイミング】

このことから、幸せを感じる消費の特徴は「『自分+他者』のためにお金を使うこと」と、「今を楽しむためにお金を使うこと」だとわかりました。では、具体的に誰のためにお金を使うと特に幸せを感じるのでしょうか。

誰かと感じる幸せは、性年代で変わる。

「あなたは誰のためにお金を使うことが最も幸せだと感じますか?(単一回答)」という質問をしてみたところ、41.2%の方が自分のために使うことが一番幸せにつながると回答しました。これは当然のこととして、着目したいのは2番目以降の相手です。

【幸せに感じるお金を使う対象】

性別の結果では、男性が幸せに感じるお金を使う相手は恋人・配偶者であるのに対し、女性が幸せに感じるお金を使う相手は自分の子どもでした。 30~60代は自分の子どもが多く、70代以上は自分の子どもや孫という結果になっており、ライフステージの変化に伴い、幸せを感じるお金の使い方も変化していくことが示唆されます。 男性はすべての年代において、恋人・配偶者がランクインしている点、女性は50代から孫がランクインし始め、年を重ねるごとにスコアが高まっている点も特徴的です。

人生で一番大きな買い物が一番幸せな買い物とは限らない?

より具体的に、生活者の方が幸せに感じたお金の使い方を知るために、「最近一番幸せだった買い物」について、自由回答でエピソードを集めました。

【最近一番幸せだった買い物】

Q. あなたが最近で一番幸せを感じた買い物は何ですか?

■日々の買い物や食事

・友達に焼き肉奢ったとき。めちゃくちゃ喜んでいて自分もうれしかった。(男性 20代)

・猫を保護したので、その子の為にケージやタワーなど、猫グッズを購入した事(女性 70 代)

■旅行などの非日常的な体験

・ディズニーランド40周年パレードを家族でみたこと。(男性 50代)

・妻とのハワイ旅行です。(男性 80代)

・スイスアルプス縦走の旅 花、素晴しい山容、山小屋での仲間との飲酒時間(男性 80代)

■大切な人への贈り物

・妊娠中に子どもの用品を買いに行ったこと。(女性 20代)

・息子の彼女に初めて会うときに渡す物を、何がいいかなーと楽しみながら探したプレゼント。(女性 60代)

・子どもの誕生日プレゼントの、電子ピアノ。音楽が好きな娘にリクエストされ、プレゼントしました。喜ぶ姿は、こちらも嬉しくなります。(女性 30代)

・孫の玩具。初孫なので可愛くて仕方ありません。(男性 60代)

・長男のランドセルです。新品のランドセルを本人希望の色で購入でき、それを背負って学校に通う息子を見るのが幸せです。(女性40代)

幸せを感じるお金の使い方は多岐にわたりますが、これらの買い物の共通項は、「金額の大小に関係なく、お金を使うことで喜びや楽しみを感じ、それを共有できることによって、さらに幸福感を得ている」こと。この幸せなお金の使い方を我々は「幸循環消費」と定義して、この消費の実態を調べてきました。

幸循環消費が多い生活ほど人生100年時代を前向きに生きられる?

「幸循環消費」をしているかどうかによって、人生100年時代に対する捉え方に差はあるのでしょうか。「人生100年時代において、あなたは100歳まで生きたいと思いますか?」という質問に対して、「とてもそう思う」と回答した方のスコアを比較してみました。ここでは幸せを感じるお金の使いかたをしており、幸せを感じるお金を使う相手がいる人を「幸循環消費あり」としています。

【幸循環消費と100歳まで生きたい意欲】

この結果から、「幸循環消費」がない人と比べ、「幸循環消費」がある人のほうが「100歳まで生きたい」と思う人が多いことが分かります。特に、「とてもそう思う」のスコアに差がみられます。 日々の消費活動の先で誰かと喜びや楽しみを共有することで、幸福度が高まり、結果として、人生100年時代もポジティブに捉えることができるようになるのかもしれません。

「幸循環消費」は日々の生活の中に隠れている。

今回は、生活者のお金の使い方と幸せの関係性について、深く掘り下げました。 そして、100年時代のお金の使い方として「幸循環消費」をポイントにあげました。 この「幸循環消費」にはいくつかの特徴があります。

✔ 自分だけでなく、ほかのヒトとも楽しめる消費であることが多い。

✔ 必ず幸せや満足感につながる自分なりのエピソードが存在する。

✔ きっかけは人それぞれであり、人生のステージによっても変化する。

✔金額の大小は関係ない。

友達との何気ない食事が「幸循環消費」だという人もいれば、日常の小さなご褒美が「幸循環消費」だという人もいて、そのどちらも人生を彩る最高の消費体験なのだと思います。

少し前までは、高級車やブランドバッグの購入など、周りから羨ましがられ、それが自分の満足感につながる「承認欲求消費」が幸せな消費の主流だったと思います。おそらく、それは今でも幸せな消費のひとつであるのは変わらないと思いますが、人生100年時代においては、金額の大小に関係なく、喜びや楽しみを感じ、それを誰かと共有できる消費を積み重ねて循環させていくことこそが充実した人生を歩み続けるカギになるのだと感じました。

生きていく中で、外すことができない「消費」という行動。 財政状況や景気の話、老後2000万円問題など、どうしても暗い話題が目立ってしまう「お金」の話。 生活や買い物を振り返り、自分なりの「幸循環消費」を見つけることで、自分のお金の使い方だけでもポジティブに捉えることができれば、今よりちょっとだけ人生が前向きになるのではないかと思いました。

もしかすると、日々の生活のささいな買い物の中に自分だけの大切な「物語」が隠れているかもしれません。 そしてそれを増やしていくことや誰かと共有することが、あなたや周囲の人の人生100年時代を彩るきっかけになるかも。 ボーナスが支給されるこのタイミングで、改めて自身のお金の使い道を見つめなおし、そこに隠れた物語を見つけることで、あなたが大切にしている「幸循環消費」は何なのかを考えてみるのはいかがでしょうか。

[100年生活者調査〜お金編〜]

■調査目的 :生活者の消費行動の実態把握/幸福度や人生100年時代との関係把握

■調査手法 :インターネットモニター調査

■調査日時 :2023年04月

■調査対象者 :20~80代の男女 728名 

■調査会社 :株式会社 H.M.マーケティングリサーチ

プロフィール
研究員
榊原 智宣
2018年に大広に入社。入社以降ストラテジックプランニング業務に従事。
開発者から生活者まで、かかわる全ての人を幸せにすることを目標に戦略プランナーとして日々勉強中です。
100年研究所の一員として、一人でも多くの人の100年時代を幸せにできるヒントをたくさん見つけます!