2023.03.17

世界幸福度ランキング1位はダテじゃない? フィジー人の幸福論

幸せに生きる4つの習慣とは
100か国を旅した旅行(幸)家の永崎裕麻さん。「日本より住んでみたい」と、2007年に移住したのが南国フィジーでした。今回は、フィジー人を“幸せの天才”と呼び、その幸福の秘密をひも解いた永崎裕麻さんの著作から、ウェルビーイングのヒントを探っていきたいと思います。

フィジーってどんな国?

フィジー共和国はオーストラリアの東、ニュージーランドの北の南太平洋上に位置し、330余りの島々からなります。面積は四国とほぼ同じで、人口は2020年時点で約89.6万人。主な産業は観光とサトウキビ。国民の平均月給は約3万円程度。2014年に国連開発計画から発表された「人間開発指数」では187か国中88位。平均寿命は119位(194か国中)、一人当たりGDPは100位(184か国中)、失業率は111位(178か国中)と「幸せを構成する要素」と考えられる客観的指標では決して上位ではありません。それにもかかわらず、「あなたは幸せですか?」と質問をするタイプの主観的な幸福度を測る世界幸福度調査で、2011年、2014年、2016年、2017年に1位に輝きました。

フィジーの人たちは、何でも共有するからハッピーでいられる

永崎さんによると、フィジーの人々は、客観的な豊かさの尺度を持っていないといいます。では、なぜ、主観的に幸せだと感じられるのでしょうか。本書の中で「日本人にはあまりに非常識だけれど、着実に幸せを引き寄せる習慣」があるとして、「モノもお金もなんでも共有する習慣」のエピソードが紹介されています。

スーパーのレジで並んでいると、前方で買い物カゴにスナック菓子をたくさん入れた若い男性が振り向き、後ろにいたおばちゃんに「ニカーっ」と白い歯を見せて笑った。すると、おばちゃんは「いくら足りないの?」と質問し、代わりに足りない金額を支払った。おばちゃんに尋ねると、若い男性とは初対面だという。しかし、「困っている人がいたらサポートしてあげないと。私たちは皆家族みたいなものだから」と話す。拡大解釈された「家族」の定義の広さと、当たり前に行われる行為に驚かされる。

語学学校では教師と教頭がヒソヒソと会話をしていた。後から教頭に話を聞くと、「お金を貸してほしい」という依頼を教師から受けたと話す。教頭によると、上司と部下のお金の貸し借りは一般的で、貸す側の教頭の方が教師よりも金欠なこともあるのだという。

見知らぬ他人にお金を与える行為や上司と部下の間で貸し借りが行われる背景には、「持つ者が持たざる者に与える」という常識がある。近くにいる人が幸せになれば、巡り巡っていつか自分にも良い影響が及ぶ。そんな幸せの伝播が、家族や友人だけでなく他人同士の間でも日常生活の中で行われている。

他者との距離感が変わると、幸せに近づける?

フィジー人の幸せの習慣には、他に「自分にも他人にも『テキトー』な習慣」、「どんな時も『現在フォーカス』する習慣」、「光の速さで『つながり』をつくる習慣」があるそう。

自分にも他者にも多くを求めずに寛容である姿勢、将来のことを考えて一喜一憂するのではなく「今」を大切にする生き方、身近な人と結びつきを大切にするなど、日本人の生き方とは大きな違いがあるようです。

人と比べ過ぎて自分を見失うような時や、過去や将来のことに縛られて今を大切にできていないと感じる時に、肩の力を抜きながら「幸福論」を学べる一冊だと思います。

世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論永崎裕麻 著、いろは出版

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Well-being Matrix編集部
人生100年時代の"しあわせのヒント"を発信する編集部。