「自分だけの場所」があれば、誰もが幸福になれるのではないか。
書籍『Cabin Porn Inside 小屋のなかへ』は、世界中の「理想の小屋」に出会えるビジュアルブック。
ザック・クラインは、アメリカ・ニューヨーク州北部の森の中に仲間たちと小屋を建て、そこで過ごす時間を楽しんでいました。あるとき理想の家づくりのヒントを求めて「Cabin Porn」というオンライン・コミュニティを立ち上げます。参加者は徐々に増え、気がついたらのべ1,000万人以上が訪れるサイトに。小屋好きの人々から届いた写真は2万枚以上にも上りました。本書『Cabin Porn Inside 小屋のなかへ』(グラフィック社)は、オンライン・コミュニティに届いた中から85の小屋の外観と内観、そして建てた人々の物語を紹介しているビジュアルブック。いくつか見ていきましょう。
ノルウェー出身のバードウォッチング愛好家が建てたのは、まるで鳥の巣箱のような小屋でした。結婚を機に移住したイギリス。近くの森で場所を見つけ、18か月かけてほとんど一人で建てたそうです。鳥の巣箱の入り口のような丸い窓から見える景色は、どのように彼の目に映るのでしょう。森が静まった夜にひとり訪れ、「移住した国でホッとできる場所になっている」。
https://cabinporn.com/post/159861482813/a-human-sized-bird-box-in-the-norwegian-forest
イタリア・ローマの町外れの森にあるプライベートパークには、地上7メートルの場所に「木の上の隠れ家」があります。梯子とロープを使い、3人がかりで建てたそうです。このツリーハウスには、現代的な暮らしができるよう小さなトイレと電気も備えられています。地上7メートルで感じる森の風は、地上で感じるそれとは違うさわやかさで心の中を吹き抜けていきそうです。
https://cabinporn.com/post/156581705159/casajolanda-treehouse-in-rome-italy-14sqm
ギリシャのケファロニア島出身の学者は、仲間たちとともに2週間暮らしを共にしながら自分たちの手で島の伝統的な小屋「トラガタ」を再現しました。オリーブの樹々が立ち並び、海が見渡せる場所に建っています。
https://cabinporn.com/post/165242336235/submitted-by-louise-lauritzen-and-pantelis
例えばアメリカ・サウスダコタ州の女性は、家族が150年住み続けた土地に「自分だけの農場を持ちたい」という情熱から、友人や近所の人の手を借りながら、1年間かけて「ヒルサイドの小屋」を建てました。また、スペインに暮らす3兄弟は、創造力とインスピレーションを求めて人里離れた谷に「木と廃材を使った小屋」を建てていました。
本書で紹介されている小屋は、どれもオリジナリティに富み、作り手のアイデアが詰まっています。「自分だけの場所」を作りたい人に、多くのインスピレーションを与えてくれるはずです。たとえ小屋を作る気持ちがなくとも、本書を開けば世界の小屋を旅する幸福なひと時に浸ることうけあい。「自分だけの場所」に思いをはせて、幸福感を高めてはいかがでしょうか。
ザック・クライン
グラフィック社
3,190円(税込)