2023.07.06

香りで気分を変えると、行動がかわり、世界が変わる

「アロマセラピー」でウェルビーイング

要約すると

  • 気分を切り替えたいときにこそ、香りの力を借りよう。

  • そのときの香りの嗅ぎ方のポイントは「自分の内側」に意識を向けること。

嫌な気持ちになったり、イライラしたり、集中できず落ち着かない時、どうしたら気持ちを切り替えられるでしょうか。何か特別なことをして気分を変えるようなことをするのではなく、普段、毎日している何気ない行為を少し変えるだけで気分が変えられるなら——慌ただしい日常生活の中で、そんな悩みを持つ人もきっと多いはずです。 

本書『プロカウンセラーが教える香りで気分を切り替える技術 香りマインドフルネス』は、20年以上の臨床経験を持つ著者が日々の生活の中にある「香り・匂い」を活かすことを提案しています。そして、カウンセンリングの知見だけでなく、国内外の研究成果の紹介も交えて、メンタルコンディショニングのための「香りマインドフルネス」と「香りマインドフルネス瞑想」の活用を奨める1冊です。  

脳科学や生理学の研究で、「匂いは瞬時に気分へ作用すること」が示されています。嗅覚刺激は脳の奥の大脳辺縁系という部位に直接届き、そこで情動反応や記憶想起をもたらし、身体各部に影響が及ぶそうです。つまり、切り替えたい気分に合わせた「香り・匂い」を選ぶことで、気分だけでなく行動にも影響を与えることができるというわけです。 

たとえば、スッキリしたいときはレモンの皮やローズマリーの葉の匂いを嗅いでみる。落ち着きたいときは自分の手首の匂いを嗅ぐ。仕事を始めるタイミングにコーヒーを淹れてその匂いを楽しむ。入浴してリラックスしたいときにはヒノキの匂いを深呼吸する。普段、何気なくしている匂いの感じ方と異なるのは、「香りマインドフルネス」では自分の内側に意識を向けるために、それらの匂いを意識して嗅ぐ点です。さらに「香りマインドフルネス瞑想」では、坐禅を組み、静かな鼻呼吸をし、今この瞬間に意識を向ける瞑想と香りを組み合わせます。  

より日常的に取り入れやすい実践法には「香り腹式呼吸」が挙げられています。こちらは、自分が心地よいと思う匂いを嗅ぎながら、鼻呼吸と腹式呼吸を行い、呼吸に意識を集中し自分の内側にある体と心の変化を感じていくものです。 

匂いの好き嫌いは人によって違うため、気分を切り替えたいからと我慢しながら匂いを嗅いでいては効果も半減。いずれの方法も、自分にとって心地よい香りをどうやって見つけるかが大切なポイントになります。そのために本書で挙げられている方法は、食卓やキッチンを歩いてみることと、屋外に出てみること。まずはここから始めてみませんか。 

プロカウンセラーが教える香りで気分を切り替える技術 香りマインドフルネス   松尾祥子 著、翔泳社

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Well-being Matrix編集部
人生100年時代の"しあわせのヒント"を発信する編集部。