2023.08.24

心身のリラックスのために、聴くサプリ“眠りに効く曲”を!

「音楽」でウェルビーイング
心身の健康を保つ上で重要な役割を果たす睡眠。睡眠の質を上げることで鬱病や生活習慣病のリスクが低下することが分かっていますが、ある調査では、日本人の約7割が睡眠に満足していないという結果が出ています。

しかし原因として考えられるのは働き過ぎ、スマホの長時間利用など様々で、一朝一夕で改善できる問題でもなさそうです……。そこで、睡眠改善の手軽な第一歩として効果を発揮するかもしれない、眠るための音楽をご紹介します。

要約すると

  • 音楽療法の現場でもリラックス効果を認められた楽曲がある。

  • 現代音楽家リヒターによる8時間の大作「SLEEP」は聴きながら眠るための曲。

  • 「ゴールドベルク変奏曲」には、睡眠用に作られたという逸話が残っている。

  • 2011年の実験でクラシックを抑えて、一番リラックス効果が高かった曲はマルコーニ・ユニオンの「Weightless」。

音楽療法の現場で認められた音楽をアプリで   

音楽療法とは、読んで字のごとく、音楽を使った治療方法のことです。西洋医学のような直接的な治療ではない代替医療としての役割を担うもので、たとえば緊張緩和にはバッハの「管弦楽組曲 第三番 ニ長調」、高血圧の人にはバルトークの「ヴァイオリン・ソナタ」といったように、実際に効果も認められています。 

このような観点から、有限会社デジアートでは「耳で飲むお薬」とも言うべき「meditone」という登録商標を所有しています。 

これは、様々な精神的・肉体的症状を緩和するために独自に作り出されたサウンド。音楽療法の現場で効果が認められた楽曲をそのまま処方するのではなく、それらの楽曲を多方面から解析し、その結果をもとに再構築されています。そうしてより効果的に作られた音楽が収録されているのが「Relax by meditone Premium」というアプリです。睡眠導入効果が高いものはもちろん、元気を出したいときや逆に高ぶった気持ちを抑えたいときに聴くものなど、44種類ものサウンドを収録しています。 

グラミー賞ノミネートの作曲家が手掛ける8時間の子守唄 

SLEEP』 

[演奏]マックス・リヒター、アメリカン・コンテンポラリー・ミュージック・アンサンブル 

[録音] 2015年3月19日-20日ニューヨーク、アバター・スタジオ  

ドイツ生まれイギリス育ちの現代音楽家、マックス・リヒター。彼は近年注目を集めるジャンル「ポスト・クラシカル」を代表する作曲家で、グラミー賞にノミネートされた経験もあるほどの実力派。そんなリヒターが「聴きながら眠ってほしい」という願いを込めて作った「SLEEP」という曲があります。 

インターネットに常時接続しているようなデータ社会に対するアンチテーゼとして、2015年に発表されましたが、ただ心地良いというだけの曲ではなく、神経科学者であるデイヴィッド・イーグルマンに相談をしながら、科学的に眠くなるとされる要素がしっかりと組み込まれているのが特徴です。そして、この曲の尺は、なんと約8時間。 

ちょうど人が寝て起きるくらいの長さになるこの曲のため、過去には夜通し公演も行われています。観客に椅子ではなくベッドが用意されるという非常にユニークなものであり、いかに睡眠のために作られた音楽かということがよく分かるエピソードです。 

このリヒターの一連の試みを記録したドキュメンタリー映画『SLEEP マックス・リヒターからの招待状』(2021年)も公開されるなど、多方面で話題になった曲です。 

不眠解消に作られたとも言われるクラシック音楽 

バッハ:ゴールドベルク変奏曲(55年モノラル録音)』 

[演奏]グレン・グールド 

[録音]1955年6月10日、14日-16日 ニューヨーク、コロンビア30番街スタジオ 

 クラシック音楽を聴くとリラックス効果がある、という話を耳にしたことのある人も多いかもしれません。人間の脳波には、リラックスしているときや目を閉じているときに多く発生するα波というものがあり、クラシックには、このα波を誘発する「1/fゆらぎ」という周波数が多く含まれるというもの。その代表格として挙げられる作曲家がモーツァルトです。 

リラックス効果があるということは当然、眠りを誘いやすい音楽でもあるのですが、当時の作曲家たちは、心地良い音楽を追求しただけであって、眠くなる曲を作ろうとは思っていなかったはず。ところが、バッハの「ゴールドベルク変奏曲」に関しては一説によれば、睡眠用に作られたのではないか、とされています。ヨハン・ニコラウス・フォルケルという音楽家が1802年に記したバッハの伝記を見ると、「不眠症の伯爵のために作曲された」という趣旨の記述があるのだとか。 

ただでさえリラックス効果があるとされるクラシック音楽であり、なおかつ、バッハが睡眠用に作曲した音楽なのであれば、快眠効果があっても不思議はありません。ちなみに、先述のマックス・リヒターもこの「ゴールドベルク変奏曲」を意識して「SLEEP」を作曲したそうです。 

ある実験で「最もリラックス効果がある」と実証された楽曲  

Weightless』 

[演奏] マルコーニ・ユニオン 

 科学的にリラックス効果があるとされる音楽は、クラシックだけでなく現代音楽にも多数ありますが、実際にそれらの効果を比較した実験もあります。 

それは、イギリスの研究機関マインドラボによって2011年に行われたものです。この実験では40人の女性を対象に制限時間のあるパズルを解いてもらい、ストレスレベルが上がったところで事前にピックアップした楽曲を1曲ずつ聴いてストレスレベルの変化を測定。その実験で一番リラックス効果が高かったのが、イギリスのバンド、マルコーニ・ユニオンの「Weightless」という曲でした。モーツァルトやエンヤ、コールドプレイなど他の候補曲と比べて11%以上のリラックス効果があり、ストレスレベルが65%も低下、心拍数は平均で35%も低下したとのこと。 

というのも、「Weightless」は、聴いた人をリラックスさせる目的で作られた曲であり、マルコーニ・ユニオンがイギリス音楽療法学会やプロのサウンドセラピストと合同で作ったのだそうです。 

一般的には、ロックやヘビメタなどのハイテンポな曲、歌詞が理解できてしまう曲などは脳を活性化させる可能性があるため、入眠前は避けたほうが良いとされています。それでもどんな音楽を聴くと心地良くなるかというのは、人それぞれです。もし「これを聴くとすんなり眠れる」という曲が見つかれば、睡眠の質の向上にも繋がるはず。ウェルビーイングな毎日のために、自分にぴったりの眠るための音楽を探してみませんか。 

画像素材:PIXTA

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Well-being Matrix
Well-being Matrix編集部
人生100年時代の"しあわせのヒント"を発信する編集部。