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2023.08.18

人生100年時代、孫との交流におけるテクノロジーの活用とは

アフターコロナへの転換期、孫との関係性は?

新型コロナの外出制限がなくなった今年の夏、世の中の皆さまは、お孫さんと会いましたか?

かつては、 孫が近くに暮らす家庭も多く見られました。しかし、現在は、核家族化や都市集中により離れて暮らす世帯も増え、さらにはコロナ禍では孫と会えない期間もありました。「孫との関係性」は、今どのように変化しているのでしょうか。

現在、世の中の皆さまは、十分にお孫さんと会えているのでしょうか。

100年生活者研究所の今回のアンケートの結果から、「会う頻度を増やしたい」と回答している人は38%で、およそ3人に1人は「今よりも孫に会いたい」いう結果になりました。

【孫とどのくらい会えているか】

では、なぜ孫と十分に会えていないのでしょうか。次に、孫と「会う頻度を増やしたい」理由を自由回答の形式で聴取しました。

テキストマイニングという、回答のなかで出現の多いものを大きな文字で表す分析を用いてみました。

ユーザーローカルAIテキストマイニング

すると、「遠い」「遠方」「住む」などの「物理的距離」と、「忙しい」「遠慮」「都合」などの「精神的距離」が、会えない理由として多く挙げられている傾向が分かります。

具体的にどのような事情があるのか、いくつかピックアップします。

物理的距離について

  • 遠いのでなかなか会えない。年なので自分からは会いに行けない。お互いが仕事しているので休みも合わせづらい。(60代/女性)

  • 住んで居る地域が遠い為(60代/男性)

  • 孫が他県に住んでいるのでなかなか行き来ができない。(60代/女性)

精神的距離について

  • 孫も嫁もとても忙しいことはわかっているので、邪魔はしたくないからです。(70代/女性)

  • 近くの孫は、息子側なので気楽には会えない感じがある。(60代/女性)

現在、オンラインツールを活用している?

物理的距離や精神的距離を縮める有効な手段の1つとして、オンラインツールが挙げられます。

オンラインツールといっても難しいものではなく、テレビ電話など日常で使っているものも含まれます。コロナ禍では「リモートワーク」や「リモート飲み会」など、離れていても繋がる手段が広がりましたが、孫との交流においては、浸透しているのでしょうか。

アンケート結果より、「オンライン上(電話、テレビ電話など)で」孫に会えている(選択肢:「十分会えている」「会えている」計)は54%で、現在、オンライン上で孫と繋がっている人がおよそ2人に1人に留まっていました。

【「オンライン上で」孫に会えているか】

一方で、「実際に顔を合わせて」孫に会えている人は65%で、およそ3人に2人が会えているという結果になりました。このことからも、孫との交流において、オンラインは主流ではないことが分かります。

【「実際に顔を合わせて」孫に会えているか】

また、「現在、孫との交流にオンラインツールを活用しているか」という質問においても、オンライン上で孫と会えていない人の69%で、およそ3人に2人が活用できていないことも明らかになりました。

【孫との交流にオンラインツールを活用しているか】

本当は使いたいテクノロジー

しかし、オンラインツールに拒否感があるわけではありません。

孫との交流の活性化のために、オンラインツールや新しいテクノロジーを使えるようになりたいと回答した人は63%に及び、オンラインで孫に会えていない半数以上の人が意向を示す結果になりました。

【孫との交流のために新しいテクノロジーを使えるようになりたいか】

では、どのようなテクノロジーを使いたいのでしょうか。

アンケートにて「あなたが孫と、より良い関係を築くために、あったらいいなと思うテクノロジー」について、実在するものでもしないものでも、ざっくばらんに考えていただきました。

すると、離れていても共通の趣味を楽しめることを求めている声が上がりました。

  • ゲームの中で孫たちと一緒に色々なところに旅行してみたいです(60代/女性)

  • 離れた場所でも一緒にゲームやカラオケなど遊びを共有できるようなもの。(50代/女性)

  • 孫たちが今ちょうど興味を持っているもの(アニメやゲームなど)を、自分たちのような世代にも分かりやすく解説してくれるAIロボットがあると便利になると思います。(40代/男性)

では、なぜテクノロジーを使いたい気持ちがあるのに、現在使えていないのでしょうか?

その原因を紐解くべく、先ほどの質問と同じく「あったらいいなと思うテクノロジー」についての回答を見てみます。すると、簡単に繋がれることを求めている声が見られました。

  • いつでも声が聞けるような簡単なシステム(50代/女性)

  • ボタン1つで簡単にテレビ画面で会える(50代/女性)

  • リビングのテレビのリモコンに「孫」というチャンネルがあり、つけると3分間孫と繋がれる。ただ顔を見るだけでも、会話ができるでも良し。(50代/女性)

このことから、テクノロジーを使いたいが使えていない人は、操作が難しいというイメージが先行し、取り入れることに抵抗を感じていることが伺えます。

人生100年時代、テクノロジーを使いこなして孫と距離を縮めてみよう

今回のアンケートから、オンライン上で孫に会えていない人でも、本当はテクノロジーを使いこなして、孫と交流を深めたい気持ちがあることが分かりました。

しかし、テクノロジーを取り入れることには不安が伴います。どれが使いこなせるのか、難しい操作なく取り入れられるのか…筆者である私も、新しいテクノロジーに挑戦するとき、いつも期待よりも不安が大きいです。

そんなときは、1人で悩まずに周りの人の力を借りてみてはいかがでしょうか。ネットで検索してみたり、周りの家族やお友達から聞いてみたり、家電量販店で聞いてみたりして、自分に合ったテクノロジーを見つけてみましょう。(もちろん巣鴨の「100年生活カフェ かたりば」でも、お待ちしています!)

実は、アンケートにてお答えいただいた「あったらいいなと思うテクノロジー」のなかには、既に世の中にあるものもあります。100年人生を幸せに生きるうえで孫との交流を深めたい人は、テクノロジーに挑戦してみてはいかがでしょうか。

【調査概要】

■調査名 :人生100年時代における孫との交流についての調査

■調査対象者:100年生活者研究所 LINE会員 孫がいる40代~80代男女 193名

■調査手法 :LINEによるアンケート調査

■調査期間 :2023年7月

プロフィール
研究員
白岩 莉子
2021年に大広に入社と同時に、Hakuhodo DY Matrixに出向。幼少期から自分の祖父母にたくさんお世話になった経験や、趣味のボランティア活動にて老人ホームに訪問した経験などから、社会における世代間交流の活性化の一助になりたいと思うように。
「将来の夢は、全シニアの孫娘」を目標に掲げ、日々シニアマーケティングの業務に従事。