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2023.10.06

人生を好転させるヒントは「プチ理想像」にあった?

「自分はもっとできるはずだ」「思い描いた自分はこんなものじゃない!」これは私が常日頃思っていることです。理想や目標は明確にあるにもかかわらず、なかなかそこにはたどり着かない。そんなモヤモヤを抱えている自分自身に、嫌気がさすときがあります。
でも、ふと思いました。そもそも、理想とのギャップがあり、モヤモヤを抱えている状況はとても贅沢なことなのではないかと。

「人生100年時代」が到来し、人生時間が長くなったことにより、「自分が本当に何をしたいのか」「どのような生き方が理想なのか」を考える機会も増えていくでしょう。
さらに、SNSの普及に伴い、他者の生活や価値観が可視化されやすくなって、これまでの時代と比べ、自身の価値観の変化や理想像の変化が起きやすくなっています。

そこで今回は理想の有無や現在の自分とのギャップを感じている人の実態を深堀りし、100年時代におけるギャップとの向き合い方について、考察をしていきます。

要約すると

  • 明確な理想の自分像がある人は、そうでない人と比べ人生満足度が高い。

  • 理想と現実とのギャップが大きいほど人生幸福度が低くなるが、 ギャップが大きい人には、向上心が高く、人生満足度も高い人がいる。

  • 将来の大きな理想像に加え、ギャップの小さい理想像「プチ理想像」を持つことが、 100年時代を幸せに生きるきっかけになる可能性。

理想と現実のギャップを感じる人はどのくらいいるのか。

アンケートの結果によると、漠然とでも自分の理想像があると回答した人は全体の67.6%と、3人のうち2人は理想の自分像を持っているということが分かりました。

また、25.8%の人が「理想の自分像はないが、今後見つけていきたい」と回答しており、前向きに理想を追い求めていることが分かりました。

【理想の自分像の有無】

また、この結果を年代別で見ると、年齢が上がるにつれて、理想の自分像がある人の比率が高まっていることが分かりました。多くの人はたくさんの人生経験を経て、理想の自分像にたどり着くのかもしれません。

【理想の自分像の有無(年代別)】

では、理想の自分像を持っている人とそうでない人とで、人生満足度に差はあるのでしょうか。

アンケートの結果によると、「明確に、理想の自分像がある」と回答した人の3人に1人が今の自分の人生にとても満足していると感じていることが分かりました。

漠然とした理想の自分像ではなく、明確に意識していることが人生満足度を高める上では重要であるようです。

【自分の人生に満足しているか否か】

続いて、理想の自分像と今の自分とのギャップは、どの程度感じているのでしょうか。「漠然と、理想の自分像がある」と答えた方は、「とてもギャップがある/ギャップがある/ややギャップがある」の合計が76%でしたが、「明確に、理想の自分像がある」と答えた方は、62%とこちらの方がはっきりと低い傾向が見られました。

【理想の自分像とのギャップ】

では実際にギャップを感じている人はどのようなシーンで感じることが多いのでしょうか。自由回答の形式で聴取し、「テキストマイニング」という、回答のなかでスコアが高いものを大きな文字で表す分析を用いると、仕事のシーンに関するコメントが多い事が分かります。

ユーザーローカルAIテキストマイニング

理想とのギャップが及ぼす影響。

理想の自分像がある人において、ギャップを感じているか否かで幸福度に差がある事が分かりました。

「ギャップはない(理想像とおおよそマッチしている)」と回答した人は10点満点で9.9点と高スコアである事が分かりました。一方で「とてもギャップがある」と回答した人は、10点満点で6.3点とギャップがない人と比べ、スコアが低いことが分かります。

【理想の自分像とのギャップと幸福度の関係】

次に向上心があるかどうかについて、アンケートで聞いてみました。

全体としては、ギャップはない方が「向上心がある」人が多い傾向ですが、トップボックスの「とても向上心がある」に着目すると、「とてもギャップがある」と回答した人では16.9%であり、「ギャップはない」と回答した人の次に高い事が分かりました。

【向上心の有無】

続いて、現在の人生満足度のスコアも見てみます。

これも全体としては、ギャップはない方が「満足している」人が多い傾向ですが、トップボックスの「とても満足」に着目すると、「とてもギャップがある」と回答した人では14.1%でした。このスコアは「ギャップがある~ややギャップがある」と回答した人の約3倍のスコアとなっています。

【自分の人生に満足しているか】

以上のことから、理想の自分像と今の自分とに「とてもギャップがある」と感じている人には、“手放しに幸せとは言い切れないものの、向上心を持って日々を過ごしていて、人生に「とても満足」している”人がいることが分かりました。

「プチ理想像」で幸せは作り出せる?

ここまで、理想の自分像や現実とのギャップと幸福度や人生満足度との関係性を見てきました。

ポイントを整理します。

  • 明確な理想の自分像がある人は、そうでない人と比べ人生満足度が高い。

  • 理想と現実とのギャップがとても大きいと、幸福度が低くなるが、向上心は高いため、人生に「とても満足」している人が増える傾向にある。

上記ポイントを踏まえると、「理想の自分像ととてもギャップがある」と感じている人には、“まだまだ成長したいという強い意欲をもってもがいている、そんな生き方が好きな人”がいるのではないかと考えました。

しかしながら、幸福度が低い点がやはり気になります。

人生100年時代は、いろんな理想を持ちうる時代と言えます。

彼らが、今の自分を保ちながら、幸福度を上げることができれば、それは、「幸せ」に対する答えの一つになるのではないかと考えました。

ここまでの結果を基にすると「ギャップの少ない理想の自分像を持つ人」ほど、幸福度が高いことが分かっています。

「理想の自分像」と聞くと、遠い未来のことを思い浮かべたり、過去の自分と今の自分を比較したりすることが多いと思います。

そういった理想の自分像を持つことはとても大切であり、今後も描き続けることが幸せな日々を送り続ける原動力になるはずです。

しかし、「遠い将来の理想の自分像」だけだと、どうしてもギャップは大きくなります。そのギャップを小さくするために、「遠い将来の理想の自分像」に加え、「プチ理想像」を持つことが重要になってくると考えます。将来の理想の自分像を持ちながら、中間目標として、今の自分とのギャップが少ない理想像を「プチ理想像」として設定し、達成する。そうすれば、遠い将来の理想の自分像の実現可能性も高まり、幸福度も高くなると思います。

「明日は早起きをして会社に行こう」だったり、「今週末は家事をしっかりこなして、住環境を整えよう」だったり…。

近い将来の目標や理想の自分像を思い描き、それを達成することを繰り返していくことが、日々の幸福感につながるのではないでしょうか。

もし、今の自分と理想の自分像とのギャップにモヤモヤいる人がいたら、そんな自分を肯定しつつも、自分の近くにいる「プチ理想像」を見つけてみてはいかがでしょうか。

【調査概要】

■調査名 :向上心と自己肯定感と幸福度の関係についての調査

■調査対象者:100年生活者研究所 LINE会員 20代~80代男女 758名

■調査手法 :LINEによるアンケート調査

■調査期間 :2023年9月

プロフィール
研究員
榊原 智宣
2018年に大広に入社。入社以降ストラテジックプランニング業務に従事。
開発者から生活者まで、かかわる全ての人を幸せにすることを目標に戦略プランナーとして日々勉強中です。
100年研究所の一員として、一人でも多くの人の100年時代を幸せにできるヒントをたくさん見つけます!