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2023.11.22

定年後の「アディショナルワーク」が100年人生を豊かにする

912万人の「アディショナルワーク」

912万人。これは、2022年の65歳以上の就業者の数です。

高齢就業者数は19年連続で増加、65歳以上の就業率は25.2%で、4人に1人が働いています。

(総務省:統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-

人生100年時代。寿命がこれまでより長くなったことに加え、高年齢者雇用安定法の制定などで高齢者が働きやすい環境が整ってきたこともあり、定年後も働く人が増えているようです。

「定年」という定められた労働契約期間を過ぎて働くこと。

名付けるならそれは、アディショナルタイムならぬ、「アディショナルワーク」。

直訳すると“余計な仕事”ですが、その仕事は決して余計ではなく、定年後の日々に活力をもたらす、一種の生きがいになっているのではないかと考えました。

本レポートでは、そんな「アディショナルワーク」について調べました。

人々は、なぜアディショナルワークを選択するのか。

アディショナルワークを通して、日々はどう豊かになるのか。

単なる「労働の延長戦」ではない、人生100年時代を豊かにする「アディショナルワーク」のあり方と可能性を探っていきたいと思います。

アディショナルワークに求める「つながり」と「健康」

定年後も働いている(働いていたことがある)方163名に調査を行ったところ、アディショナルワークを選択した理由の1位は「人や社会とのつながりを持ち続けたいから」、続いて「健康・元気であり続けたいから」「生活費・養育費を稼ぎたいから」という結果になりました。

アディショナルワークを選択した理由

アディショナルワークを選択した方たちにとって、働くことにおいて大事なのは、お金よりも人とのつながりや自身の健康にあるようです。

アディショナルワークで地域や社会に貢献、前向きに働く

アディショナルワーカーの方は、具体的にどんな仕事をしているのでしょうか。

実際に調査に回答くださった方のアディショナルワークの一部をご紹介します。

アディショナルワークの例

  • 継続契約で、営業事務の仕事(60代女性)

  • スーパーに勤務していたので、その経験を活かし、週12時間だけアルバイト(60代男性)

  • 市のインフォメーションセンターで、ボランティアで街案内(70代女性)

  • 主人が自営業なので、その手伝い(60代女性)

  • 大学や短大や高校で非常勤講師(60代男性)

  • 花を植えたり、アレンジメントなどを作って売り、お金は子どもの学校に寄付(60代女性)

  • 市が運営する放課後児童クラブの責任者(60代男性)

  • 無理のないところで、グラフィックデザイン制作からドローン撮影の編集など(60代男性)

  • 喫茶店のお手伝い(70代女性)

  • 有料老人ホームでお年寄りの話し相手、傾聴支援の仕事(70代男性)

  • 地域の自主防災会長と、ネットでハンドメイドの人形服の販売(70代女性)

アディショナルワークと言っても、定年前にしていた仕事を続ける人、新たなチャレンジに取り組む人、お金はもらわずボランティアに励む人、その内容は様々なようです。

さらに調査を進めると、定年前の労働者に比べ、アディショナルワーカーの方が「働くことは楽しい」と感じていることがわかりました。

働くことは楽しいと思うか?

定年で仕事を辞める選択肢もある中、アディショナルワーカーの方たちは、より前向きに仕事に臨めているようです。

先程の仕事の内容を見てみると、アディショナルワークでは地域や社会、お年寄りや子供たちに直接的に貢献できるような仕事を選択される方が多いようにも思われます。そういった、地域・社会に貢献していることをより実感できる仕事をしているからこそ、前向きに楽しく働けているのかもしれません。

アディショナルワークが日々の人生を豊かに?

さらに面白いことに、アディショナルワーカーの方たちは、定年前で働いている人、定年後に仕事を辞めた人に比べて「人生の満足度」が高いことがわかりました。

人生の満足度

実際、アディショナルワーカーの方からはこんな声を聞くことができました。

定年後も働いてよかったと感じた瞬間・エピソード

  • 適度に体を動かすことで、定年前よりも健康状態が良くなりました。(60代男性)

  • 夢であった仕事に非常勤ながら就くことができ、夢がかなった。(70代女性)

  • 知らず知らずに考え方が固まっていたことに気づいた。新しいことを入れていく、アップデートする大切さに気づけた。(60代女性)

  • 自営業なので定年はなかったのですが、コロナ禍をきっかけに、これまでとは違う人生を歩むことを決めました。人間関係が、いままでとは違う世界でひろがりました。(60代男性)

  • この歳になっても まだ新しい発見があり、生活が充実している。(50代女性)

  • 微力ながら、社会に貢献している気持ちになるし、会社で必要とされているので、生きがいにもなる。(60代男性)

  • 収入が減っても、趣味と両立する無理のないペースを見つけることができた。(60代女性)

年をとっても、まだまだ新たな発見や出会いがあること、人生の可能性が広がること。

アディショナルワークを経て得られる様々な気づきと経験が、日々の人生を豊かにしてくれるようです。

時代100年時代におけるアディショナルワークの重要性

40代以上の定年前の方に、定年後も働きたいかを聞いたところ、66%の方が「働きたい」と答えました。

3人に2人が定年後も働くことを選択する時代、もはや「定年」の概念が変わりつつあります。

定年後も働きたい人の割合

また、アディショナルワーカーは、定年で仕事を辞めた人に比べて「100歳まで生きたい」と考える人が多いこともわかりました。

100歳まで生きたい人の割合

人や社会とのつながりを感じられ、身体や頭を動かすことで健康にもつながり、人生の可能性を広げるアディショナルワークは、100年人生に対して前向きになれる活力を生じさせるのかもしれません。

私の父も、新卒から勤めた会社の継続雇用制度で定年後も働いていたのですが、62歳にして人生で初の転職活動を行い、いまは外国人技能実習生を支援する仕事に就いています。

前職での、海外駐在経験や地元の方一人ひとりと向き合う経験を経て、異なる文化背景ですれ違うことも少なくない雇用主と実習生両方に寄り添い、人と人をつなげる仕事に、とてもやりがいを感じているようです。

実際、父は以前にも増していきいきと働いているように見えます。息子ながら、こういった働き方を選択できる人が増えると、きっと人生100年時代はもっと豊かになるのではないかと信じています。

【調査概要】

■調査名:人生100年時代の定年後の労働に関する調査

■調査対象者:100年生活者研究所 LINE会員 40-80代男女 657名

■調査手法:LINEによるアンケート調査

■調査日時:2023年10月

プロフィール
研究員
伊藤 幹
2017年博報堂入社。戦略を軸足に、コミュニケーション、事業共創、ソーシャルアクション立ち上げなど幅広い領域のプラニングに従事。ウェルビーイングをテーマに活動し、2022年に朝日新聞とともに「ウェルビーイング・アワード」を立ち上げ。一児の父として、育児と仕事の両立に奮闘中。

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