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2023.12.01

100年時代の「終活」とは? 人生終い支度から、人生再設計支度へ

「終活」の意味合いに変化の兆し!?

「終活」という言葉がすっかり世間に浸透してきたように感じる昨今ですが、皆さんは「終活」に対し、どのようなイメージを持たれていますか?「人生の終わりに向けた準備」という少し気が重いイメージを持たれる方も多いかもしれません。

でも実は、これから人生100年時代を迎えていくにあたり、「終活」の意味合いもアップデートされていくかもしれません。実際に、「終活」を、「この先の人生を生き生きと過ごすための準備」と捉える兆しが見えてきています。

今回は、人生100年時代を幸せに過ごすための「終活」の在り方を紐解いてみました。

現在の「終活」イメージの実態は?

【終活に対するイメージは?】

40代~80代男女の方への調査によると、9割弱の方が、「終活」を「人生の終わりのための準備」と捉えていることがわかりました。中でも、「とてもそう思う」という方は約4割という結果でした。

一方で、「終活」を「この先の人生を生き生きと過ごすための準備」と捉えている方は、全体では7割弱ですが、「とてもそう思う」に限ると、2割強という結果で、このイメージをはっきりと持つ人はまだ多くはないようです。

終活にはどんな意義があるか、という問いに対するTOP3を見ても、自分の亡き後、周りに迷惑・苦労をかけないための配慮という思いがとても高く、まさにこれこそが、現在の「終活」のモチベーションになっていることが伺えます。

【終活にはどんな意味がある?】

終活を“これからの人生を充実させる準備”と捉えられると、幸福度は上がる!?

その一方で、終活を「人生の終わりのための準備」と捉えるより、「この先の人生を生き生きと過ごすための準備」と捉えるほうが、幸福度が高いという結果も見えてきました。

【終活に対するイメージによる幸福度の違いは?】

これは、「終わり支度」に加え、「これからの人生を充実させるための準備」とまで捉えられると、幸福度を高められるということではないでしょうか。

この視点で更に調査結果を見ていくと、幸せな人ほど、「終活」の活動範囲や意義を、より広く捉えている、ということも見えてきました。

【「終活」の具体的な活動内容は?】

例えば、「終活」の活動範囲については、亡くなった後の準備にとどまらず、「やりたいことの洗い出し」「人間関係の見直し」「思い出づくり・整理」「趣味の見直し」「健康習慣の見直し」など、“今囲まれている”ものや人、思い出、習慣、環境などまで含めて、幅広く整理整頓を行うことを「終活」と捉えています。

「終活」を通して整理するものの本質は何か?

もの、人、思い出、習慣、環境までも整理整頓することは、ある意味、今まで抱えていた執着や欲、未練や後悔の整理整頓とも言えます。

「終活」の過程でどっと疲れたり苦しくなったりするという話も聞きますが、やり過ごしてきたこれらの思いや、今までの自分の生き様と、じっくり向き合うことになるからかもしれません。

ただ、その苦しみと向き合うことは、自分自身の価値観を見直すプロセスでもあるのではないでしょうか?

つまり、「終活」を通しての整理整頓は、死後の心配を減らすだけでなく、今大事にしたいことの整理整頓も兼ねることになるのです。

その結果、物理的な面だけでなく心も軽くなることで、気持ちが前向きになります。それが実は、自分のこれからの“生”の時間にフォーカスするための準備になっているのです。

「終活」経験者が語る人生への良い影響

「終活」経験者の方からも、終活を通して人生そのものに、良い影響があったという声が届いています。

人生100年時代だからこそ、「終活」のアップデートが求められる!?

そして「終活」を、「これからの人生を充実させるための準備」と捉え直すことは、人生100年時代にこそ、必要なマインドになってくると考えられます。

人生100年時代を迎える今、ライフステージは、「学ぶ→働く→引退する」という単純な進み方から、「学び方・働き方・生活の仕方・社会との関わり方を多様に選択しながら、いくつものステージを細切れに移行していく」進み方へ、変化すると言われています。

それは、今まで以上に、人生の節目と転機が訪れ、その先の人生を設計し直すタイミングがやってくる、ということに他なりません。

そのとき、「これから先、自分は何を大事にしたくて、何をやり残しているのか」という、次のステージにいくための羅針盤がますます必要になってくるのではないでしょうか?

だからこそ、自分の価値観そのものも整理整頓する「終活」の重要性が増していくのだと思います。

これからの人生100年時代、終わり支度を見据えつつも、自身の残りの人生を充実させ、後悔がないように準備をする「人生再設計」活動として、「終活」を見直してみてはいかがでしょうか?

そして、この考え方が浸透していった先には、少しネガティブさも感じさせてしまう「終活」という言葉自体も、新しい表現にアップデートされていくかもしれません。

【調査概要】

■調査名:100年生活の終活に関する調査

■調査手法: LINEによるアンケート調査

■調査対象者:100年生活者研究所 LINE会員(40-80代男女) 617名

■調査期間: 2023年11月

プロフィール
研究員
山縣 由紀子
事業会社での法務・事業戦略経験を経て、2019年にキャリアチェンジ。現在は、ダイレクト領域のマーケティング業務に従事。
皆様の声をてがかりに、日常をちょこっと前向きに、生きやすくするためのヒントを模索していきます。