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2024.01.12

「人生100年時代」とは、SF小説よりも摩訶不思議なものかもしれない。

100年も生きたくないという人が7割を超える調査結果※1が出ていますが、それもそのはずと思うふしがあります。

今回おこなったアンケートで、100歳の自分をイメージして回答していただきました。80代女性の「今は当時の、SFの世界の様である」という回答を見て、SF小説好きな筆者も同じようなことをよく考えていたことを思い出しました。100年も生きていれば、現実には起こりえないと思っていたことが、どんどん可能になり、想像をこえていくのかもしれません。生きている私たちが「100歳まではついていけない」と感じるのは仕方のない事実なのかもしれないと思うのです。

※1 https://well-being-matrix.com/100years_lab/posts/100_230320_02/

幸せな100歳の自分をイメージしてもらいました。

100歳まで生きたいと思わないのであれば、「幸せ」と仮定して100歳の自分を思い描いてもらうと変化は起きるのだろうかという思いから、今回のアンケートをお願いしました。幸せな100歳の自分は、どんな暮らしをしているのでしょうか。

幸せな自分をイメージしてもらいましたので当然かもしれませんが、7割以上の方から前向きなステキな日常を記載いただきました。

そこから感じたのは、「つながり」の大切さです。家族だけではなく、友人や地域の人も含めて、人と人のつながりは幸せの糧となり、そこに居場所ができるのだと実感しました。年齢性別職業を問わずの知人・友人とのコミュニケーションが生活に彩を加えるのです。また、それまでの豊かな人生の経験を多くの人達に分かち合うことも大切な役割となるようです。人に迷惑をかけたくないと思いがちの日本人ですが、周りの人の手を借りることも大切です。SF小説のごとく進化したデジタルの恩恵などを受けながら、まだまだチャレンジングに生きているご自分の姿を想像していただきました。

そんなステキな回答をいくつかご紹介します。

  • 大好きな散歩は毎日欠かさずやっていたい。様々な年代の方とのコミュニケーションが多いおばあちゃんになりたい。(30代 女性)

  • ひ孫に囲まれて、のんびり過ごしている。活動の範囲は狭くとも、出来ることは自分で、難しいことは周りの人たちの手を借りながら暮らしていると思う。(40代 女性)

  • 定年退職後に始めた新たな趣味の世界に没頭して日々たくさんの充実を得ながら、多くの孫たちに囲まれる幸せな生活を送っていると思います!(40代 男性)

  • 自分らしいインテリアの個室のあるシェアハウスで暮らしている。仲間と食卓を囲んでいる。(50代 女性)

  • のんびり暮らしていて縁側で日向ぼっこをしているイメージ。若い人々の相談相手になっていたらいいなと思います(50代 女性)

  • 自宅でのんびり一人暮らし。庭で少し野菜を育てながら、日常品は生協で購入。宅配はドローンで届くようになっているかも。出かけるときは予約した自動運転のバスに乗って行く。趣味の俳句をずっと続けていられたらいいなぁ。(50代 女性)

  • 南仏か日本の小さな家で窓から毎日、海を眺めながら猫とのんびり暮らしていると思います。(50代 女性)

  • 経済的、日々の生活の心配がなく、自分なりのオシャレをして好きなことをして飄々(ひょうひょう)と暮らしています。 (60代 女性)

  • 何とか体も頭も自由がきき日々の生活を楽しめる状態で居たいし、毎日趣味に没頭していたい。きっとたぶん、100歳になった頃は水彩画が趣味になってるかも・・・いや絵描きになってアーティスト謳歌したいな。(60代 男性)

  • 身体が元気で仕事が続けていることが願い(70代 男性)

  • さて、さて、人生100年時代、小生は?現在77歳!これから先も色々とチャレンジしたいです。(70代 男性)

  • (省略 今は当時の、SFの世界の様であるとしつつ)イメージの世界であるが、できれば、空気の澄んだ自然の中での生活を望む日常生活の利便性はデリバリーもDroneで済み、ロボットの発達で郊外や田舎での老人暮らしも買い物難民にならずにすむ可能性が出てきたから、、、(80代 女性)

前向きなご意見の中には、「のどかに」「ゆっくり」「穏やかに」などのワードが多く見られたのも特長かと思います。20%の人の回答にこれらのワードが含まれていました。高度成長時代からの「辛くとも頑張る」というような過去の日本人気質のままでは、体も心も擦り減ってしまうのでしょう。移住やシェアハウスへの転居の記載もいくつかあり、必ずしも今の家に固執するのではなく、生活しやすい住まいを選択する自由も現代ならではの意見と思いました。「幸せな自分」をイメージしていただきましたので、仕事や趣味を含めて新たなチャレンジを思い描く人も多かったようです。

100年という長くなった人生を幸せに生きるには、自分の好きなことを、自分のペースで取り組むことがとても大切なんだと思います。

分かりやすいデータとして、誰にでも訪れるイベント、100歳の誕生日についても聞いてみました。

誕生日に何をして過ごしているかとの問いに、「いつも通りに過ごす」と37.8%の方が答えているものの、51%の人が、何かしら特別な1日を過ごしていることをイメージしています。いくつになっても、特別な1日であることに変わりはないのだ思いました。

【100歳の誕生日に何をしているか】

そして、その誕生日を誰と過ごしているかの問いに対して、配偶者やパートナー、子供や孫などを含めた家族とともにと答えた方が60%、友人までも含めると68%の方が、誰かと一緒に過ごしている自分をイメージしています。「幸せ」を感じるファクトとして、だれかとの「つながり」はとても大切なことなのです。

【100歳の誕生日は誰と過ごしているか】

イメージすることは「100歳生きたい度」を上げることはできたのでしょうか?

今回のアンケートでは「あなたの、『100歳まで生きたい気持ち』は、どのぐらい変わりましたか?」という質問を聞いています。前回「100歳まで生きたいと思いますか」と質問した時の回答結果と比べて、幸せな100歳をイメージしたことで何か変化があるかどうかを、みてみました。

もともと「生きたいと思う/とても思う」としていた方たちは、56.7%もの方がその気持ちをさらに高めた結果になりました。

しかしその一方で、もともと「生きたいとあまり思わない/まったく思わない」方たちは、63.6%の方は「変わらない」ままで、さらに22.6%もの方は、100歳まで生きたい気持ちがさらに低くなるという結果でした。想定と逆の結果です。これは、心が弱っている人に「がんばれ」と励ましてはいけないということと同じ現象なのではないかと思います。バックファイア効果というのだそうです。

「幸せ」を押し付けることなく、皆が感じることができるよう、社会が変化していくことがとても大切なことなのだと思います。

【100歳になった自分をイメージする前後の、100歳まで生きたい気持ちの変化】

摩訶不思議な100年時代を生きるために。

みんなが同じ方向を向いていた時代は終わり、多様性を尊重する時代となりました。自分が自分らしく生きることを大切にして良い時代です。

100年の間、変化を続ける世の中を柔軟に受け入れることも必要でしょう。それを可能にする社会の対応策も忘れてはならないところです。今回思い描いてもらった幸せな100歳の自分も、時代とともにさらに変化するかもしれません。

なんといっても、世の中はSF小説より摩訶不思議な世界だったのです。一時の迷いはあっても、人とのつながりを感じながら、自分を大切に生きること。それが、100年人生を幸せにする極意なのだと思います。

【調査概要】

■調査名:幸せな100歳のイメージについての調査

■調査手法: LINEによるアンケート調査

■調査対象者:100年生活者研究所 LINE会員 20-80代男女  825名

■調査期間: 2023年11月

プロフィール
研究員
大原 美弥子
社会人40年、​前半をグラフィックデザイナー、後半をプロデューサーとしてコミュニケーションに携わる仕事をしてきました。​
“100年生活を楽しむ” ための様々な活動の紹介・提案をすることで、社会に良い兆しが生まれる手助けができたらと考えています。